インプラント治療症例ブログ6 (前編)
川崎区にある歯医者 パール歯科医院 院長の藤田です。私は日本口腔インプラント学会 認定インプラント専門医を取得しております。当院ではインプラント治療・矯正治療など自費治療に力を入れています。
今回は当院のインプラント症例を2回に分けて、お話をさせて頂きます。
目次
- はじめに
- 症例紹介
- 治療計画
- インプラント埋入手術とサイナスリフト・ラテラルウィンドテクニック詳細
1.はじめに
両側奥歯が咬めなくなってしまった患者様のインプラント治療についてお話しさせていただきたいと思います。こちらの患者様ですが、左下奥歯と右上奥歯が欠損しており、かみ合う力が前歯に集中し前歯の動揺やかみ合わせの位置(咬合高径)の低下も見られていました。
2.インプラントを用いて審美性の獲得と正しいかみ合わせの回復をはかった症例
A case in which implants were used to achieve aesthetic results and restore correct occlusion
症例の概要
患者 60歳 女性
全身疾患等 無し 非喫煙者
主訴
前歯を綺麗にしたい
左上3本連結した歯が揺れている
奥歯でしっかり咬めるようにしたい
肩がこりやすい
歯ぎしりがひどい
3.治療計画
初診時患者様に説明内容
1口腔内のレントゲン検査・歯周組織検査・口腔内写真等検査を行う
2歯周治療から始めて、奥歯にはインプラントを用いるこの際、右上奥歯の骨は危弱なのでラテラルウィンドテクニックを用いる
3左上動揺ブリッジは歯周組織の状態、咬合状態、患者様の希望等を鑑み慎重に治療方針を決めていく
3残存歯の咬合負担を軽減するため、前歯も含めて仮歯に置き換え正しいかみ合わせ位置に誘導する
4順次仮歯をセラミックに置き換える
5メインテナンス
1回目歯周検査
左上前歯3本連結のブリッジは歯周ポケット深めで動揺もみられます
奥歯でのかみ合わせがほぼないため、かみ合う力が前歯に集中しているようです。その結果前歯に動揺が出たり上下のかみ合わせの位置(咬合高径)の低下がみられます
初診時のパノラマエックス線写真です右上の臼歯が広範囲に欠損しています。長時間経過しているため上顎洞の拡大がみられます。上顎洞とは鼻の横にある副鼻腔の一つで、加齢や歯の欠損で拡大傾向を示すのです。上顎臼歯部にインプラントの埋め込み手術をする際、その難易度を大きく左右する要因です。
2回目歯周病検査
歯周病の初期治療を慎重に進めます。極端に進行しているわけではありませんが、4㎜以上の歯周ポケットがまだ残っていますし、ポケットからの出血しているところも数多くみられます。ブラッシング指導と歯石除去、生活習慣の指導等を行いました。
3回目歯周病検査
2回目歯周病検査の後、出血部位と深い歯周ポケット中心に歯肉縁下の歯石除去(SRP)を行いました。
その後3回目の歯周病検査となります。1回目と比べ深い歯周ポケットは、8ヶ所→4か所、出血部位は34ヶ所→20ヶ所に減少しました。左上前歯ブリッジのポケットからの出血、動揺はあまり好転しませんでした。含め審美的な観点と患者様の希望も考え抜歯インプラントという治療計画をたてました。
治療計画具体的な流れ
歯周病治療後
1左下奥歯2本インプラント
2右上奥歯3本インプラント ラテラルウィンドテクニックを用いたサイナスリフト応用
3左上前歯抜歯と同日に3本インプラント同日仮義歯装着
4奥歯インプラントと骨の結合を待って、仮歯装着し奥歯での咬合回復
5金属の詰め物・被せ物を順次仮歯に置き換え正しい咬み合わせの位置に戻す
6審美性と金属アレルギーを考え、順次仮歯をセラミックに置き換え
奥歯によるかみ合わせが、左右ともに喪失しています。この状況が長く続くとかみ合わせの位置(咬頭嵌合位)がどんどんずれていきます。顎の関節を中心とした本来のかみ合わせ(中心位)と咬頭嵌合位の一致というのは実際難しいのですが、当然そのずれは少ないに越したことはありません。ということで奥歯のインプラントからはじめました。
4.インプラント埋入手術とサイナスリフト・ラテラルウィンドテクニック詳細
左下奥歯にはインプラントを2本埋入します。その術前CTレントゲン写真、つまり輪切りにした写真です。埋め込む位置の骨の頬舌的狭窄がうかがえます。骨の上に丸く写った透過像は、金属球を埋め込んだマウスピースを装着して撮影したものです。理想のインプラント埋め込み位置を確認します。
埋入後のパノラマレントゲン写真です。インプラントとかみ合うべき、上顎奥歯は長期間にわたりかみ合いが喪失していたため、歯が下方に伸びています。右上上顎洞の拡大を確認するためCTレントゲン写真も撮影しました。
5.左下インプラント埋入手術詳細
右上臼歯部は4本のインプラントを埋め込みます。骨の状態は約2㎜程度で、薄いこと極まりない状態です。
サイナスリフト・ラテラルウィンドテクニック(下図)という術式を用いてインプラントを埋入することになりました。
サイナスリフト・ラテラルウィンドテクニックを併用した術式でインプラントを埋入しました。
使用したインプラントは、表面がハイドロキシアパタイトという骨との親和性がたいへん高い材料がコーティングされているタイプです。
インプラント埋入直後のパノラマエックス線写真です。骨が十分にある方向を狙って埋入しました。
今回は前編ということで、サイナスリフト・ラテラルウィンドテクニックを併用したインプラント埋入手術まで、お話させて頂きました。
次回はその後の実際に歯が出来上がり、食事などができるようにするためのところからお話させて頂きます。
パール歯科医院では、患者様が安心してインプラント治療を受けられるよう、安全性に重きを置いて治療を行っています。これまでに多数の症例を扱ってきた実績もございますので、治療方法や費用についてのご相談はお気軽にお問合せ下さい。
パール歯科医院 インプラント治療7つのこだわりについて
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パール歯科医院 インプラント症例について
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院長 藤田陽一
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