咬合、咀嚼について②
こんにちは。
川崎区小島新田のパール歯科医院です。
前回に引き続き、
咬合、咀嚼について
書かせていただきますね。
日本大学松戸歯学部教授の葛西一貴先生が
「歯の植立と咀嚼の関わり」
という論文の中で、
面白い研究を発表しています。
1万5千年程前の縄文時代の人間と
現代人の歯並びについての研究です。
奥歯を前から見ると、
縄文人は歯がまっすぐ立っており、
しっかり咬める歯並びになっています。
歯の並ぶスペースも十分で、
歯並びの悪い縄文人は
ほぼ見つかっていないということです。
その反面、現代人は
歯が内側に倒れている傾向にあります。
内側に倒れているので
歯の並ぶスペースが足りなくなり、
歯並びに問題を生じ易いのです。
そして注目したいのは、
縄文人の子供は現代人の子供と同様に
内側に倒れているのです。
ここで考えられるのは、
現代人も縄文人も歯はやや内側を向いて
生えてきますが、縄文人の子供は、
固いものをしっかり咬むことで、
顎の骨を成長させているということです。
そして顎が広くなり、内側に倒れた歯が、
まっすぐ立ち上がります。
結論として現代人は、縄文人と比べて
「かむ力」「かむ回数」
「奥歯でのすりつぶし」
が足りないので、
顎が成長しきれないのです。
歯が真っ直ぐにならず
顎が狭いままなので、
歯並びも悪くなってしまいがち
ということです。
成長期にかみごたえのある食べ物を、
奥歯ですりつぶすように時間をかけて
しっかりかむことが、とても大切なのです。
よくかむと顎の骨が成長し、
歯の並ぶスペースができます。
するとさらによくかむことができ、
筋肉も骨も成長するという
プラスのサイクルができるのです。
昔に比べて軟らかい食べ物や
ファストフードがたくさんありますが、
1度の食事でよくかむことを意識して
顎の骨の成長を促してくださいね。
これをお読み下さっている、
お子さんをお持ちの方々へ。
お子さんにはよくかんで食べるよう
御指導下さいね。
よくかんで食べると、
唾液が出て虫歯の予防になったり、
顔の筋肉が鍛えられて
表情が豊かになったり、
脳が活性化されるなど、
いいことづくめです!
ただ最近のお子さん方は、
とにかく多忙・・・。
塾や部活や習い事など、
就寝時間が遅くなりがちです。
その結果、食事の時間が十分にとれず、
朝食を抜いたり
早食いをしたりする傾向にあります。
食事を始めてから満腹感が得られるまでに
20分程度のタイムラグがあります。
血糖値が上がり、
脳内の満腹中枢を刺激するまでに
時間がかかるのです。
早食いは、
食欲にストップがかかる前にたくさん食べ、
それにより気がついたら食べ過ぎた、
という事になりがちです。
これが毎日続くと、
正常な空腹感や満腹感が感じられなくなり、
空腹でなくとも食べ続けるようになります。
これは肥満の始まりです!
肥満は内科的にも
何もいいことがありません。
食事はゆっくり30分以上時間をかけて
とりましょうね!
また食べるリズムも大切です。
空腹感や食欲は、
唾液や消化液の分泌を促します。
お子さん方の周囲には、
たくさんの飲み物や食べ物が溢れています。
いつでも気軽にこれら食べ物を
口にできる状況なのです。
基本は、朝 昼 晩の食事を
規則正しく摂るようにして下さい。
とくに一日の始まりの朝ご飯は重要です。
体のリズムを整え、
体温をあげ、脳にエネルギーを送ります。
そしておやつを与える場合は、
食事の2時間前にすませましょう。
適度な運動により、
空腹感をもって食事を食べさせましょう。
もちろんその時、
家族そろって皆で食事を摂るのが理想です。
きちんと三食、食事をとり、
よくかんで、ゆっくり食べるように
ご家族でお子さんを指導してくださいね。
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